舞 楽



(右舞・還城楽)

 楽器のみによる合奏である「管絃」に対して、舞を伴うものを「舞楽」と呼びます。「管絃」のページで説明したように、「舞楽」には唐楽と高麗楽の2種類があります。唐楽による「舞楽」を左方(さほう)、高麗楽による「舞楽」を右方(うほう)と呼びます。また舞そのものをそれぞれ左舞(さまい)・右舞(うまい)とも呼んだりします。
 舞楽の場合には曲のテンポなども管絃と比べてリズミカルに演奏され、管絃と同じ曲であっても舞楽の場合には拍子が違ったりします。
 また、雅楽の舞は型の美しさを楽しむものが多く、ストーリー性のある舞はごく一部です。


太食調・還城楽(たいしきちょう・げんじょうらく[右方])



舞楽の編成

 管絃と違い舞楽の場合には絃楽器は使用されません。左方の場合には管絃と同じく笙・篳篥・龍笛・鉦鼓・鞨鼓・太鼓で演奏されますが、右方の場合には篳篥・高麗笛(こまぶえ)・鉦鼓・三ノ鼓(さんのつづみ)・太鼓という違った楽器構成で演奏されます(一部の舞楽では左方の編成で演奏するものもあります)。


左方と右方

 笙が入ることでハーモニーに包まれる唐楽・篳篥と高麗笛が対位法的に進行する高麗楽。メロディーで舞う左舞・リズムで舞う右舞。朱を基調とする左方装束・緑を基調とする右方装束。金色で統一された左方の小物・銀色で統一された右方の小物。…などなど、様々な面で左方と右方は対比されます。


舞の種類

 (1)平舞(ひらまい) …優雅な装束を着て4人(以上)で演じるゆったりした舞
 (2)走舞(はしりまい)…絢爛な装束を着て1人または2人で演じる動きのある勇壮な舞
 (3)童舞(わらべまい)…子供が演じる舞

 これらの分類には当てはまらない舞もありますが、ほとんどの舞は(1)か(2)のどちらかに分類されます。


舞楽の演目

 舞楽では左方と右方が対になって演目が決められます。左方がある舞楽を演じた後には、同じような人数・時間・動きの右方の舞楽が演じられます。これを番舞(つがいまい)と言って、実際には「この左方舞楽にはこの右方舞楽」というような演目の割り当てが決まっています。
 また、すべての演目が終了後、唐楽・太食調の長慶子(ちょうげいし)という曲が演奏され、この曲が演奏されている間に参会者が退出することになっています(最近では最後まで聞いている場合がほとんどですが!)。